2008年10月10日金曜日

I never had a meal on my own.

PSFにおける営業は、成長の源泉です。
高品質のサービスの提供によって、リピートのビジネスをいただく。
ターゲットしたアカウントへの継続的なアプローチによって新しい仕事をいただく。
マーケットで知名度があるために、依頼の電話をいただく。

いろいろな形でビジネスをつくるわけですが、基本はproactive(能動的)であることでしょう。

S社の社内資料に、こうありました。
The person who built up [A社] was once asked:
'What is the one thing you have done that has made you so successful compared to your competitors?'
He replied: 'It's really simple - I never had a meal on my own.'"

A社は、会計事務所のコンサルティング部門としてスタートしたものの、完全に分離して独立、顧客開拓は自らやらなければなりませんでした。
それが、パラノイア的ともいえる成長動機になったと思います。
他の会計事務所系のコンサルティングは、なまじ監査部門と関係が良好であったがために、そちらからの顧客紹介が強く、かえって独立した成長力がつかなかったように思います。

自分で餌を探すことが、最大の営業でしょう。

2008年10月5日日曜日

教育

大学新卒者を大量に採用し、自社で育て上げて成長してきたA社では、教育・研修に膨大な投資をし続けてきました。2千人近くが宿泊できる研修センターをもち、年に1度ぐらいは世界中から参加する1週間程度のトレーニングに参加します。ローカルにも、工夫を凝らした教育プログラムを開発して運営したりします。「人を育てる」ことがカルチャーそのものといってもいいほどです。

一方、ビジネス経験豊富な人の入社を前提としているS社では、教育研修はそれほどの優先度をもちません。ビジネスプロセスやインフラについての理解を深めるための初期研修や変更時の研修がある程度です。最大のものは、入社して1年以内の人を集めて行う1週間のプログラムでしょう。

9月に、そのプログラムに参加しました。シカゴのホテルに世界から27人が集まり、ビジネスの基本、ファームの歴史や方向性、自分のプランの立て方、などをみっちりと学びました。
参加者の平均年齢もおそらく40歳を超えていると思われるほど、円熟味のある中での討議や交流があり、なかなか楽しめました。
最後の2日間は、同時期にボードミーティングを開いていたボードメンバー(全12名)との交流があり、その距離の近さが新鮮でした。
この1週間で、世界で約350人のコンサルタントの10%以上と交流したことになります。

こうしたファミリー的な感覚も、なかなか良いものです。もちろん、ファミリーにとけこめないと、きびしいことになるでしょうが。

2008年9月20日土曜日

チームと集団

700人の経営幹部のエグゼクティブアセスメントをしたという方のお話を伺いました。
成功するリーダー像は、欧米と日本とで共通のものもあり、異なるものもあるそうです。
  • 欧米の成功者は、バーナー型。焼き尽くすような情熱とパワーで推進する。日本でこれをやると、よほどの再生案件以外では周りがついてこない。日本で成功するのは、薪型。じわじわ、と燃えて、長く温かく燃え続ける。
  • 日本のリーダーは、チームマネジメントという意味において、欧米のリーダーに比べて概して能力が低い。そもそも考えてみると、Team という英語に相当する日本語がない。辞書を見ても、チームとある。多様な人材の良さをミックスし、1+1=2以上の力を引き出すのは、欧米のリーダーがうまい。

思わず、ひざを打ってしまうほど、納得しました。

たしかに、日本の組織の多くはチームではなく、集団です。

PSFも、案外と集団でしかなかったりします。チームマネジメントは、コンサルタントとして優秀であればできるというものではありません。

集団マネジメントは、おのぼりさんの集団を旗をもって引率するようなものでしょう。

チームマネジメントは、むしろ個々の自律・自立をどう尊重しつつ、個と個をつないで相乗効果を出すか、が求められるので、相当な力量がいります。

「指揮者は指揮をせず」に通じるものがありそうです。

2008年9月19日金曜日

人を育てる

A社は、1から人を育てる組織でした。
新卒で大量に採用し、米国にある研修施設(ベッド数が千数百!)に数週間送り込み、自社の方法論をたたきこみます。その後も、年に1回ぐらいのペースで世界各地の事務所から集まってミーティングや研修があります。
新しく入ってくる人たちに、いかにはやく力をつけてもらい、Feeをとれる人になってもらうか、ということが組織運営の主要テーマでした。
そのために、社内研修、評価、メンタリングなどに多大な時間を使いました。

S社は、経験豊かな人たちを主に採用しています。
事業会社でのマネジメント経験者、コンサルティング会社の幹部経験者などです。
したがって、入ったときから、それなりに一人前であることが期待されています。
その分、人を育てるというA社的な偏執狂さには至っていないように思います。
かつてのマッキンゼーに代表される高ブランド戦略コンサルティングファームもこれに近かったように思います。

人材モデルが極端に違うA社とS社。
文化的にも、A社はよりモノラルで、S社はカラフルなように感じます。
パワー的には、A社は1点突破の爆発力、S社はおとなの渋さ・しぶとさという感じでしょうか・・・?

2008年9月15日月曜日

先行き不透明なときの経営判断

2007年夏に表面化したサブプライム問題は、その後1年さらに猛威をふるい、ベアスターンズに続いてリーマンブラザーズものみこもうとしています。
今回の金融不安は、2002年から2003年を思い出させます。(つい5-6年前ですね)

前回は、2001年9月11日の同時多発テロから急激に世界経済が落ち込みました。
そのころはA社でパートナーの一員でした。
それまでのめざましい成長は頭打ちとなり、先行き不透明というより真っ暗になりました。
A社は、いろいろな手を打ちました。
  • パートナーの自発的な長期休暇(1年程度)
  • パートナーのBaseをさげるとともに、Bonusはプールし、パートナー以下から優先的に支払、期末に業績目標に達している場合にパートナーにも支給する
  • 一部の事務所(NYなど)でLow Performerをレイオフ(パートナーを含む)

パートナーになって数年目だったので、「パートナーって、割りを食うなあ」と思うと同時に、「次世代をまもる」というパートナーシップの醍醐味を感じました。

今回の危機によって、これまで絶好調だったいろいろなPSFが、先行き不透明となったとき、どのような経営判断を示すのか、興味深いところです。

もちろん、私がいまいるS社についても同様です。

いずれ、ふりかえってみたいと思います。

2008年8月16日土曜日

成長DNA

先日、あるA社の出身者と10年ぶりぐらいに話す機会がありました。
ゼロから10人ぐらいのプラクティスを立ち上げて、ビジネス順調。
しかし、会社としてはその規模で収益性高くやっていれば十分ということらしいのです。

A社のDNAは、「成長なくして存在意義なし」、「Change or Die」、「Up or Out」です。
このDNAをすりこまれ、洗脳されたA社卒としては、いまの環境がたまらなく気持ち悪く、精神衛生上よくないとのことです。

聞いていて、気持ちがわかるだけに、笑ってしまいました。
楽な状態が気持ち悪くなるDNAとは?
まさに「三つ子の魂、百まで」。
DNAは不滅です。

2008年8月8日金曜日

Client Facing

A社では、組織を成長させ、人を育て、公平に評価することが重要でした。
そのため、上のポジションにあがるほど、組織運営のための時間をより多く使うことになります。
成長プランの討議、社内研修に運営者や講師として参加、夜中まで白熱した議論が続く評価会議・・・。
マネジメントの仕事はこういうものです。
一方で、1プロフェッショナルとして、現場で過ごす時間が少なくなるのは、とても居心地が悪いものです。
常に、「プロフェッショナルとしての提供価値はなにか?」を問われているので、ただのマネジメントおじさんになると、いたたまれないのです。

S社では、小規模かつフラットであるがために、9割以上がClient Facing Time(クライアントのための活動時間)です。
組織の成長ドライバーはA社のように働きませんが、ライフワーク的にプロフェッショナルとして技能と経験とネットワークを広げるには、このような環境もなかなか快感です。

なにを仕事に求めるかによって、同じプロフェッショナルでも感じ方は違ってくるのでしょう。

2008年7月13日日曜日

A社とS社について

これまでに、2つのプロフェッショナル・サービスの会社で働きました。
A社に16年と9か月、S社は2008年5月からです。

S社で2ヶ月ちょっと、すでに比較文化論を書きたいという欲求がおさえられなくなってきました。
まだ見方が新鮮なうちに書き綴っていきたいと思います。

A社はいまや世界に18万人いて、NYSEに上場。
B社はプライベートカンパニーでパートナーシップ。世界にプロフェッショナルが400人ほどです。

S社でまず驚いたのは、クライアントの8割から9割が外資系、社内も英語主体ということです。
S社のビジネスの根幹であるデータベースは、英語のみ(日本語は、文書として添付可)なので、英語でやりとりするのが当たり前になっています。
A社は、日本では日本企業主体で、かなりドメスティックな会社だったので、英語の世界になれるのに少しとまどいました。

しかし、なれてくると英語はプログラミング言語や記号のようなものなので、単純な伝達や情報共有には余計な言い回しをしないですむ分、楽です。

それでも、日本人の外部の方にまで英語でメールしているプロフェッショナル(日本人です)が多いのには、びっくりしました。
やればできるというか、これもスタンスを貫きとおすということなのでしょうね。

2008年7月12日土曜日

雑にならない

プロフェッショナルサービスに限らないことですが、「雑にならないこと」は大切だと思います。
どうしても忙しいと雑になってきます。
また、「馴れ」によって雑になることもあります。

スポーツのプロは、基本動作・基本技術に忠実であり、そのための基礎練習を欠かしません。
同じように、プロフェッショナルサービスを高品質に提供していくことは、「雑にならないこと」の積み重ねだと思います。
メリハリを大切にしつつ、手を抜かない。
当たり前のようですが、ビジネス好調・評判上昇といったときには特に気をつけたいものです。

2008年7月11日金曜日

虎合の集

プロフェッショナルからなるミーティングは、それぞれが言いたいことだけを言ってだらだら話して終わったりします。

組織論として、ピラミッド型組織とパートナーシップによるフラット型組織とでは意志決定のあり方に違いがあります。

ピラミッド型だと、上が決めて下をひっぱるという形なので、意志決定もトップダウンでいきます。
フラット型は、きわめて決まり方が曖昧です。
基本的には多数決ですが、アクションにつながる決にすら至らないことがあります。
ただの意見交換というか、発散で会議が終わってしまうのです。

会議のやり方をクライアントに講釈するコンサルタント自身が、自分たちの会議ではお粗末だったりします。
プロフェッショナルの各々は、クライアント組織などでリーダーやマネジャーの役割をするときには虎です。しかし、虎たちだけが集まると、烏合の衆ならぬ虎合の衆になってしまいます。
そこで、獅子が1人必要になったりするから、組織というのは面白いものです。